仕濾過事ろかじにつかふる
フィルタビジネスを通じて
社会に貢献する


代表取締役 社長執行役員 山崎 敦彦

 

建設機械に使われる油圧フィルタやビルなどの建物に使われるエアフィルタは、人の目に触れる機会はあまりありませんが、社会の発展や快適な暮らしを陰で支える欠かせない要素の一つです。私たちヤマシンフィルタは、建機向け油圧フィルタのシェアにおいて国内外でトップクラス(国内70%、海外50%※)を占める企業として、製品の性能向上と安定供給で世界中のお客様を支えてきました。そして今、培ってきた技術をさらに磨いて地球環境への負荷の削減に貢献するとともに、新たな領域への参入を通じ、これまで以上に大きな価値を社会にお届けする、その入口に立っています。
※国内:矢野経済研究所調べ、海外:当社推計

 

ろ材へのこだわり

フィルタの核心は、さまざまなごみを捕捉する「ろ材」です。私たちはろ材を自社で開発・生産・販売することによって、多様な性能を持つ製品をお客様に提供してまいりました。フィルタ専門メーカーでも、川上工程から川下工程まで一貫生産している企業は世界的にみても希少であり、そこに独自性と強みがあると自負しています。
建設機械の油圧フィルタ用ろ材の主流として現在世界中で使われている、グラスファイバー製のフィルタも、私たちが研究開発の末に生み出したものです。それまで使われていた紙製のものに比べて網目を10分の1にするとともに、通過抵抗を低くすることで「より細かいごみを、より大量に、より軽い吸引力で捕捉したい」という相反する要求をクリアしました。開発当初は高価なため、なかなか採用先が見つかりませんでしたが、オイルショック後に建機メーカーが効率化を目的に機器の圧力を高めたことにともなって一気に採用が拡大。建設機械の省エネ実現の一助になるとともに、フィルタ自体の寿命の長さから、廃棄物の削減にもつながるなど、社会課題の解決に寄与してきました。
2017年には、グラスファイバー製に比べて、さらに10分の1以下の網目を実現した新素材「ヤマシンナノフィルタ®」の開発量産化に成功。フィルタとしての性能向上はもとより、ごみ捕捉量や交換までの製品寿命が3倍になるなど、環境へのインパクトを大幅に軽減することが可能になりました。
 

次世代を開くヤマシンナノフィルタ®

ヤマシンナノフィルタ®の特性は、微小なごみを取ることだけではありません。吸音性・断熱性・難燃性という特徴を活かして、これまでのフィルタでは応えることができなかった用途や機能に対応できるものであり、いうなれば「社会の困りごと」を解決することのできる製品です。すでに商品化した不織布マスクや、羽毛の代替にもなるアパレル向け中綿などにとどまらず、自動車や住宅の防音・断熱材として、農業分野における断熱シートとして、大気汚染が深刻な地域向けの高性能エアフィルタとしてなど、さまざまな分野での活用が期待されています。この新たなろ材を起爆剤に、総合フィルタメーカーとして、環境、空気、健康の分野で広く社会に貢献する企業へのパラダイムシフトを進めています。
ちなみに、不織布マスクの生産は当初は計画にありませんでしたが、コロナ禍によるマスクの不足を目の当たりにしたときに、「多くの人が困っているとき、手元に素材があるのに作らないという選択肢はない」との思いから製造を決断。約3か月後の2020年5月には一般消費者向けマスクの販売を開始することができました。マスク不足が解決すれば供給過多になるため事業化は難しいという声もありましたが、おかげさまで、オンリーワンの高機能マスクとして、多くの方々にご支持いただいております。コンシューマー向けだけでなく、医療・産業向けの規格(DS2認証)適合マスクの供給も開始し、医療従事者や産業現場従事者の安全への貢献も念頭に、用途開発を行っています。
 

カーボンニュートラル社会への対応

ものづくり企業として、生産時にエネルギーを使うことは避けて通れません。そこで、2022年2月に竣工予定の新開発拠点「横須賀イノベーションセンタ(仮称)」では、屋根全体に太陽光パネルを設置し、センター内で使う電力を全て賄うことを目指します。佐賀やセブなどの生産拠点では、廃棄物や廃水、CO2が一定数排出されますが、これらの環境負荷を低減するために環境管理を徹底し、各国の環境法令を遵守しています。さらに、再生可能エネルギー由来電力の活用や、マングローブ林の植林などの環境保全活動への参加も積極的に行っています。
ヤマシンナノフィルタ®の原料のペレットには、現状では石油から新たに生産したバージン材を使用していますが、原料生産におけるCO2排出と使用エネルギー総量の抑制の観点から、これも順次ペットボトルなどのリサイクル材に置き換える予定です。コスト的にはまだバージン材のほうが有利ですが、リサイクル材を使った生産のノウハウをいち早く吸収することで、カーボンニュートラル社会、また資源循環型社会の実現に貢献してまいります。
 

人材育成とグローカル化の推進

製品が社会に役立つものであっても、それらを生み出す会社自体が健全でなければ意味がありません。そのため、人権や社員の多様性への配慮を欠かすことなく行い、法令遵守(コンプライアンス)やリスク管理を徹底しています。
人材の多様性の観点では、世界中に展開している企業として、外国人の管理職人材を最大限有効活用し海外拠点経営を行っており、海外現地法人6社のうち、3社のトップはローカル出身者が務めています。最も多い従業員を抱えるセブの拠点では、ローカルの女性が経営陣の一角を占めており、また概ね半数が正社員となっています。このように、当社の社員は性別、国籍、年齢などに多様性を有しており、これら多様な人材の力を結集して、事業のさらなる発展を図ることが、会社と社員の成長につながると考えています。
拠点同様、当社に原材料や部品を供給してくださる取引先も多くの国に存在します。取引先はより良い製品を生み出すためのパートナーであることから、直接訪問しての意見交換を頻繁に行ってきましたが、新型コロナウイルス流行の影響でここしばらくは伺うことができていません。そこで、結束を高めるための「パートナーズミーティング」を、2021年7月にリモートにて開催しました。今後も、世界中の取引先の皆様と信頼関係をより一層醸成し、共存共栄を図ってまいります。
最後になりますが、当社のサステナビリティに向けた取り組みに関心をお寄せいただき、ありがとうございます。本レポートを通じて、多くのステークホルダーの皆様と強い信頼を築けることを願っております。